レジリエンスという言葉をご存じでしょうか?
一般的には復元力、耐久力などと訳されるのですが、
近年は心理学用語の一つとして
「逆境力」
「困難な状況に直面してもしなやかに対応する力」
つまり、「折れない心」として広まっています。
先日のNHKの番組でもこの特集が組まれていましたので、
ご覧になった方も多かったのではないでしょうか?
私達が野球を通じて子供達に学んで欲しいことの一つは、
まさにこのレジリエンスなのではないでしょうか?
ということで、今回はこのレジリエンスについてのご紹介です。
NHKの番組で紹介していた、埼玉大学での研究によれば、
「心の折れやすい人」にはいくつかの共通点があるそうです。
それは、
①一喜一憂してしまう。
一つ一つの結果に必要以上に喜怒哀楽をだしてしまうこと。
最終的な目標ではなく、その場の現象にエネルギーを使い果たしてしまい、
結果として途中で諦めることに繋がってしまうそうです。
心理学上では「感情コントロール」がうまくできない状態というそうです。
②自分を過小評価している
実際に挑戦をする前から、
「これは無理だな」「自分には向いてないな」などと諦めている。
心理学上では「自尊感情」という部分になるそうです。
逆に心の折れにくい人、にもいくつかの共通点があるそうです。
③自分が成長・前進していると感じることができる。
失敗を繰り返す中でも、少しづつ成長している感じることができること。
心理学的には「自己効力感」というそうです。
④失敗の中でもいつかできるだろう、と気楽に構えている。
「楽観性」という要素。
心の折れやすい人、折れにくい人、両者に顕著なこれらの部分を踏まえると、
①過度に一喜一憂することなく自分の感情をコントロールし、
②自分を過小評価することなく挑戦する姿勢を保ち、
③少しづつではあっても着実に成長しているということを理解し、
④いつか乗り越えられると楽観して臨む。
一般的に「心が強い」というイメージは
「鋼のような」硬い頑丈なイメージが浮かぶかと思いますが、
レジリエンス「逆境力」というのは、
楽観性などを含めた、柔軟でしなやかな思考能力なのだそうです。
このようなレジリエンス「逆境力」を育てる上では、一つ前提条件があります。
それは、
「優先順位を客観的に見極める力」
今、自分にとってそれが本当に重要なことか?
当たり前ですが、なんでもかんでも頑張るなんてわけにはいきません。
時には「あきらめる力」、それだって重要になります。
そのためにも、
自分にとって何が重要なのか?
自分は結局何がしたいのか?何をしなければならないのか?
そうした冷静な視点を持つことはとても大切なことですね。
但し、「自分が本当にしたいこと」っていうのが
ボンヤリしてしまうことだってよくあることです。
そんな時は、なんでもいいから迷わず目の前にあることに
全力で取り組んでみるっていうのが突破口になるものです。
レジリエンスを育てる上での4つの要素とその前提条件をご紹介しましたが、
それを補完する要素が一つあります。
それが「人間関係」です。
結局人間は一人では生きていけません。
いつでも、どんな時でも、
人は人に支えられて生きているし、
人の助けがあってこそ、成長もできる。
自分の知っていることが全てではないし、
以外な人の意外な言動から突破口が開けることだってよくあることです。
心が折れそうになる、
そんな時というのはとかく「内にこもりがち」になるものです。
そんな時こそ、
周囲の人に関わる時間を作れ!ということです。
自らが抱える問題点を先輩に直接聞いてもいいし、
友人とたわいのないリラックスした時間を持ってもいい。
そうした複層的で多様な人間関係が
レジリエンス全体を支える要素になるということです。
少し追加、
世界的な製薬会社として知られるグラクソ・スミスクライン社の研究によると、
食事と運動の面からレジリエンスを強化することが可能なんだそうです。
一回の食事で摂取する栄養素が大きすぎると
血糖値が急速に上昇してしまいます。
すると、体は均衡を保とうとし、
大量のインシュリンを分泌して、
今度は急速な血糖値の低下をもたらします。
(糖質の摂取で直接砂糖などの甘いものに頼る問題点の一つもここにあります)
この状態は栄養素の分解、吸収にも悪影響を及ぼすだけでなく、
大きな上下動を描く血糖値は、
感情の起伏にも大きなふり幅となって現れてしまうのだそうです。
当然、感情コントロールに支障が出やすくなり、
レジリエンスにも悪影響を及ぼす可能性が出てきます。
逆に1日に摂取する栄養価は変えずに、
より多くの食事回数でそれを摂取することができれば、
血糖値の大きな変化を抑えることができるため、
感情のコントロールもよりしやすくなるそうです。
(おやつの効能というのは科学的でもあるわけですな!)
また、インターバルトレーニングなど、
短時間に全力を出し切るような運動メニューは、
自らの限界値を目に見える形で少しづつ上げていくことができ、
レジリエンスに対しても非常に有効なトレーニングメニューになるのだそうですよ。
このような達成感を伴う運動では
セロトニン、ドーパミンといったいわゆる
幸せホルモンと呼ばれる脳内物質の分泌が顕著になるそうです。
特に思春期においてはドーパミンの分泌が多くなりますので、
(初恋のせつない記憶はこの時のドーパミンの記憶なのですな・・・)
この時期にはより多くの成功体験を積ませることで、
レジリエンスとの相乗効果も期待できます。
前述の人間関係という中でも、
人は人と触れ合う中で、オキシトシンと呼ばれる
やはり幸せホルモンを分泌します。
オキシトシンは長寿ホルモンと呼ばれるほど体に有用なホルモンで、
心の状態だけでなく、体の様々な部分に非常に大きな働きを持つそうです。
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「Ubuntu(ウブゥントゥ)」
アフリカにはウブゥントゥという古くから伝わる概念がある。
「あなたがいるから私がいる」、
「私たちは他者を通してのみ人間として存在する」という意味だ。
そしてこのUbuntuこそ、私たちの希望であり、
私たちが目指す終着駅なのだ。
~ネルソン・マンデラ
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